Interview #02

学んだのは、
逃げないこと、ごまかさないこと

インタビュー対象者

15期 佐伯直也

研修センターに入った動機

―――なぜ研修センターに入ろうと思ったのですか?

自分の臨床に自信がなかったからですね。しかも、単にその時上手いか下手かということだけじゃなくて、これから成長していけるのかということが大きな問題でした。施術が上手くいっても、逆にダメでも、何が要因か分からないので、何をどう頑張ったらいいのか分からなかったのです。はっきり言ってしまえば、次回どう改善したらいいかすら分からなかったのです。これはもっと体系的に修得する必要があると感じて、経絡治療学会の関東支部会にも通ってました。その3年目に相澤先生の講義があって、非常に面白かったんですね。また、相澤先生は、臨床的な質問にも通り一遍の答えを返すのではなくて、共感して一緒に考えてくれたんですよね。それで弟子入りしようと考えて検索したら、こういう研修所があったわけです。すぐ電話して見学に来たのを覚えてます。

研修センターに入って

―――実際入ってみてどうですか?

経絡治療の標治法ってありますよね。ここには昔からの標治法が生き残っているのです。鑑別や施術の順番まで法則化されているものもあって、応用も効きます。そういうものを講義で体系的に学んで、臨床で実際の患者さんの実際の所見に対して、すぐ施術することが可能です。頭で分かった臨床所見をちゃんと手で探して、そこに鍼灸で補瀉するわけです。それが可能なのも、初期の基礎訓練をみっちりやるからです。取穴や脈診はちょっと嫌になるぐらい繰り返し繰り返しトレーニングしました。いわゆる手を作るということです。施術はもちろん、評価をするにも非常に大事なことだと思います。自分の自信の無さも、少しずつ手で評価できるようになってくると、その分だけ少し変わってきた気がします。

―――施術についてはどうですか?

アピールしたいことばかりなのですが、あえて絞るなら運動鍼ですね。経絡治療の運動鍼は、施術中に可動域がどんどん改善するので、最初は施術をしている自分の方が驚いてました。もちろん患者さんにも納得感があって好評です。ただ気を付けるべきポイントが色々あるので、最初のうちは1つ気を付けると別のポイントを外してしまうことがよくあります。

そういうことが無いようにお互いに練習したり研究したりしようと、研修生同志の自主ゼミもやっています。仲間内で自発的にやっていたら先生が応援してくれるようになり、定期的に実施できるようになりました。いつも先生は「患者さんの背中を押してあげられるように」っておっしゃってますが、前向きな話なら私たちの背中も押してくれます。私も同じように患者さんの背中を押してあげられるよう頑張ってます。

あと、入ってまず驚いたのは、頭痛は触れるということ。緊張性頭痛、片頭痛、神経痛などタイプによって所見は違いますが、手で触って分かるんです。モノが違えば当然施術法も違うので、しっかり鑑別して適確な手法を選んで施術できるようになります。効きますよ。

―――この研修センターの特徴って何ですか?

知識・技術は想像以上に伸びたと思いますが、特に特徴として挙げるならば、臨床家としてのスピリットを学べるということだと思います。講習会などとは違って、その気になれば毎日来て一日中いられる場所なんですよね、ここは。で、バカみたいに訓練を繰り返して、実際の患者さんと真正面から向き合って、喜んだり悩んだり、また悩んだり。先生からは「逃げないこと、ごまかさないこと」と言われています。改善しない症状、患者さんのつらさ、下手な自分、いろんなことがあるけど、逃げない・ごまかさないで向かっていくことで、少しづつですが力がついてきている気がします。そして、逃げない・ごまかさないことそのものが、私の臨床家としてのスピリットになってきました。相変わらず自信も無いし上手くもないですが、そんな今の自分で全力でぶつかれるようにはなっています。こうしたスタンスこそ私の得た成長の礎であり、「成長していけるのか」という大問題の答えであり、私の一生の宝です。

研修希望のみなさんへ

―――日本伝統医学研修センターでの研修を希望・検討している方にメッセージをどうぞ。

経絡治療はベタベタ触って証拠を取る治療法だと教わっています。脈、腹、経絡、その他各部位を触って臨床所見を確認し、それをもとに筋道をたてて、取捨選択して病態を把握し、法則に沿って施術部位を選び、鍼灸で補瀉します。私が成長し始めたのは、自分のやってる事を触って評価できるようになってきたからだと思っていますが、やはり一朝一夕にはいかないですよね。仲間と支え合って来なければ、おそらくくじけていたと思います。

痛む部位を見つけられないカッコ悪さ、うまく効かない辛さ、伸び悩む不安、こういう思いを一緒に共有できる方は向いていると思います。

また、臨床で壁にぶつかった人ほど、このセンターの知識や技術をおもしろいと感じるのではないでしょうか。そしてある時、知識や技術を人から貰うだけではなく、自分自身で深め、発見し、成長できていることに気が付くはずです。

ちょっと暑苦しいですかね?いろいろ言いましたが結構明るく爽やかにやっていますよ!

inserted by FC2 system